「発酵文化×美術館」という新しい組み合わせの展覧会が2022年9月17日より、北陸3県(福井県・石川県・富山県)を舞台に始まります。発酵デザイナーの小倉ヒラクさんをキュレーターに迎え、知られざる北陸の発酵文化に迫ります。
今回行う発酵ツーリズムは、1か所での展覧会にとどまらず、次の3つの視点で既存の観光地に頼らないユニークな体験をする観光プログラムです。
① その土地にしかない発酵文化を訪ねる
② 醸造家や醸造の景色に出会う
③ 発酵を通してその土地の風土と歴史を深く知る
メイン会場は石川県との県境、福井県あわら市という人口約2.7万人(2022年7月1日現在)の小さな街にある〈金津創作の森美術館〉。広大な森を舞台に、新進気鋭の現代美術家を取り上げた展覧会を多く開催してきました。そんな同館が全国でも珍しい“食”の表現を初めて実現します。
ヒラクさんが実際に現地を訪ねて見つけ出した、北陸のローカル発酵食品を余すことなく紹介。例えば、福井県の「サバのなれずし」や、石川県の「フグの卵巣ぬか漬け」、富山県の「バタバタ茶」など。他の県には見られない発酵食品が会場にずらりと並び、つくり方や生まれた背景、歴史など北陸独自の発酵文化について知ることができます。
福井の発酵食、サバのなれずし
また、北陸のみならず日本全国の発酵食も集合します。というのも、今回の展覧会は2019年に〈渋谷ヒカリエd47museum〉で開催され、5万人を動員した〈Fermentation Tourism Nippon ~発酵から再発見する日本の旅~〉の初の巡回展でもあるのです。
そして、展示された発酵食品を購入することもできます。
〈Fermentation Tourism Nippon~発酵から再発見する日本の旅~〉の様子
10月には〈金津創作の森美術館〉の広場で、〈発酵キャンプ〉なるイベントも企画されています。発酵にまつわる飲食ブースやワークショップ、トークイベントなど、発酵を五感で楽しめる内容がめじろ押しです。
メイン会場以外にも、北陸三県の各県にサテライト会場を開設します。その土地の発酵文化をより深く紹介する展示や商品の販売、ミニツアーや宿泊体験も展開。会期中にヒラクさんと醸造家などによるトークイベントや、味噌づくりワークショップ、地酒を楽しめるテイスティングイベントなどの開催も企画中です。
●サテライト会場
〈D&DEPARTMENT TOYAMA〉@富山県富山市
〈ホホホ座金沢〉@石川県金沢市大野町
〈SEE SEA PARK(THREE TIMES COFFEE WAKASA)〉@福井県おおい町
〈RENEW〉@福井県鯖江市 ※スポット会場
また、東京と大阪でも、北陸の発酵を取り上げたイベントを開催予定です。
東京ではヒラクさんが運営する〈発酵デパートメント〉で、北陸の醸造メーカーとタイアップで売り場を展開。各食材を使ったメニューを味わうこともできます。大阪では〈阪神百貨店〉で、ミニ発酵ツーリズム展を実施。北陸の発酵食を紹介し、醸造家のトークイベントや飲食イベントの開催も予定しています。
さらにヒラクさんが旅したルートをもとに、発酵の視点で北陸を旅する旅行ツアーも。北前船の港町として歴史のある金沢市大野町のディープな発酵文化を巡る旅などを計画中です。
10月下旬には、北陸の発酵旅を追体験できる読み物と北陸の発酵名鑑が楽しめるガイドブックを販売予定。ガイドブックを片手に北陸の風と水を感じながら、北陸の発酵文化をぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
会期:2022年9月17日(土)~12月4日(日)
※月曜休館(祝日の場合は開館、翌平日休館)
会場:金津創作の森美術館 アートコア
観覧料:一般1000円、中学・高校生 600円、65歳以上・障がい者各半額
小学生以下、障がい者の介護者(当該障がい者1人につき1人) 無料