鮒寿し×チーズのマリアージュ。
〈Yoshio Fermented Foods〉が
琵琶湖の食を継承する

posted:2019.10.30

滋賀県琵琶湖の未利用魚を活用した伝統食文化の新しい継承プロジェクト〈Yoshio Fermented Foods〉が、今秋スタートしました。約1400年の歴史を持つ「鮒寿し」をはじめとする琵琶湖の発酵食文化と新たな食材、ジャンルを超えた人とのコラボレーションで、これまでにない商品を生み出します。

琵琶湖の水産業が抱える課題を解決するために

〈Yoshio Fermented Foods〉を率いるのは、株式会社奥村佃煮。琵琶湖の漁師だった現社長が1970年に創業した、湖魚の特産品専門店です。プロジェクトのはじまりは、琵琶湖の水産業が抱える課題にありました。現在、約80種の魚類が生息している琵琶湖。資源豊富なこの湖では、昔から漁業が発展し、鮒寿しをはじめとする独自の食文化が築かれてきました。しかし、ここ数十年の人々の暮らしぶりや環境の変化、そして漁業従事者の高齢化と減少などにより、琵琶湖の水産業は厳しい状況におかれています。

そこで着目したのが、廃棄処分されてしまう魚です。毎日の漁では、売ることのできない魚(=価値の低い魚)が網に入ってしまいます。例えば、鮒寿しの原料となるニゴロブナは、卵のぎっしり詰まった商品が好まれるため、圧倒的にメスの需要が大きく、需要の小さいオスは捨てられてしまうことが少なくありません。

こういった捨てられてしまう魚をおいしく食べられる商品に加工することで、新たなビジネスの可能性を生み出し、琵琶湖の水産業を盛り上げられるのでは? という発想から〈Yoshio Fermented Foods〉は誕生しました。

第一弾商品は鮒寿し×地元産チーズ

そんな〈Yoshio Fermented Foods〉による商品開発の第一弾が、〈鮒寿し×つやこフロマージュ〉です。

チーズは、チーズ職人のつやこさんが琵琶湖のほとりにある古株牧場の新鮮な牛乳を使って、つくったもの。チーズに鮒寿しの切れ端を混ぜ込むなど、さまざまな可能性を探り、最終的にたどり着いたのが「オスのおなかの中でチーズを発酵させる」というまったく新しい手法でした。

ニゴロブナのオスを6か月塩漬けしたのちお腹にチーズを詰めて、米と塩とともに、さらに1年間熟成発酵させた発酵商品。

〈Yoshio Fermented Foods〉のプロジェクトの名前にある「fermented」は、滋賀県に脈々と受け継がれる食文化としての「発酵」とともに、人やものとのコラボレーションにより生まれる可能性を醸成していきたいという想いが込められています。湖魚の新しい価値を創造することで、琵琶湖の伝統ある食文化を醸成する試み、これからの活動や新商品にも注目です。

information

〈Yoshio Fermented Foods〉
鮒寿し×つやこフロマージュ

価格:¥3,000(税別)
容量:約100g〜
販売店:
遠久邑 本店(滋賀県近江八幡市多賀町400)
遠久邑 八幡堀店(滋賀県近江八幡市大杉町27)
web:
https://www.facebook.com/Yoshio-Fermented-Foods-2151691238241819/
https://okumura-tsukudani.com/