旬の食材を使って仕込む、季節の手しごと。その時季にしか手に入らない素材で、長く楽しめる発酵食品を手づくりしてみませんか?
発酵食品で春から初夏といえば「かつお節」。春先に取れる「初ガツオ」を用いたかつお節の仕込みの時期に当たります。かつお節業界には「春取り、夏枯れ」という言葉があるほど、春に取れた脂肪の少ないカツオで仕込み、夏の太陽の下で乾燥させた「春節」は品質が高く、澄んだだしがとれるとして重宝されているんだそうです。
今回はそんなおいしい食材のそろう春から初夏に、おうちで楽しめる「発酵レシピ」を3つご紹介します。
キャベツを乳酸発酵させてつくる「ザワークラウト」。3月から5月頃にかけて最盛期を迎える春キャベツは、水分が多く葉がやわらかいため生で食べてもおいしいですが、簡単に仕込めるザワークラウトにすることで長く楽しめます。
キャベツを塩漬けにするとキャベツに含まれる糖が流れ出て、この糖を餌にもともとキャベツの葉についていた乳酸菌が働き、乳酸によって酸味や旨みが増します。ソーセージやお肉料理の付け合わせとしてなじみのあるザワークラウトは、ホットドッグやサンドイッチの具材としても活躍してくれます。冷蔵庫にストックし、お好みの食べ方を見つけてみてくださいね。
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5月中旬から6月中旬が旬の空豆を使ってチャレンジしたいのが、自家製「豆板醤」です。豆板醤は麻婆豆腐やエビチリなどの中華料理に欠かせない、中国の代表的な唐辛子味噌のこと。豆板醤を手づくりすると聞くと、上級者向けのイメージがあるかもしれませんが、茹でた空豆に米麹や唐辛子、塩を加えて混ぜて発酵・熟成させるだけで、意外と簡単にできてしまいます。
麹菌のつくるたんぱく質分解酵素やでんぷん分解酵素の作用によって、発酵・熟成中に空豆が分解され旨みを生じます。月日が経つほどに旨みが増すので、いくつか仕込んで、異なる熟成期間のものを食べ比べするのもおもしろいでしょう。油と一緒に炒めることで、さらに旨みや香りが増して食欲をそそること間違いありません!
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季節の手しごとの定番ともいえる、梅しごと。青梅が出回る5月下旬から、完熟梅になる7月上旬まで楽しめます。梅しごとには梅酒や梅シロップ、梅ジャム、梅味噌などさまざまあり、毎年お気に入りのレシピで仕込む方もいれば、新しいレシピに挑戦する方もいるかもしれません。
ここでご紹介するのは米麹を使った「梅麹シロップ」。麹を加えることで、麹菌のつくりだす酵素の作用によって、梅の実がやわらかくなり、梅の実のおいしさを余すことなく抽出できます。梅と氷砂糖で仕込む一般的な梅シロップに比べて、まろやかな甘みを感じることができますよ。
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発酵することで食材の栄養価が上がるだけでなく、風味が向上し、おいしくなるといわれる発酵食品。自宅で仕込めば、より愛着が湧きますね。季節の移ろいを感じながら、その時期にしかできない手しごとをぜひ楽しんでください。