発酵にまつわる基本的な情報。
発酵食品の分類と微生物について解説。
酢酸菌とは、アルコールを酢酸に変える細菌の総称で、お酢をつくるのに欠かせない存在です。酢酸菌は空気中に浮遊しているほか、梅・ぶどうなどの果実や柿・りんごの皮、花やはちみつなどに存在しています。
酢酸菌はアルコールから酢酸を生産することによって、pHを低下させることでほかの微生物を近寄らせない環境をつくり、防腐や静菌・殺菌のはたらきをします。お寿司やピクルスなどにお酢を使うのはこのためです。また、お酢ならではの強い酸味と鼻にツンとくる刺激臭も酢酸によるものです。
どんな原料を使ってお酒をつくり酢酸発酵させるかによって、できあがるお酢の種類が変わります。代表的なのが「純米酢」で、その名の通り、お米からできたお酢のことです。お米を使ってつくったお酒(酢もともろみ)に「種酢」を加えて酢酸発酵させ、時間をかけて熟成させたらできあがり。
また、大麦などから「麦芽酢(モルトビネガー)」、玄米などから「黒酢」、りんごから「りんご酢」、ぶどう果汁から「ぶどう酢(ワインビネガー)」がつくられます。
お酢のほかに、「ナタデココ」も酢酸菌の仲間によってつくられる発酵食品。ココナッツ水をアルコール発酵後に酢酸菌の一種である「ナタ菌」を加え、表面が固まってできる乳白色の膜がナタデココです。
酢酸菌は腸内にある免疫スイッチを刺激して活性化させ、花粉症やアレルギー症状を抑えるはたらきがあるといいます。