おいしい発酵料理で、健康になる人を増やしたい
〈山口飲食〉@徳島

posted:2026.10.9

徳島県で旬の素材をふんだんに使った発酵料理のお弁当やおやつの販売を行っている〈山口飲食〉。山口さきさんを中心とした元気な4姉妹とその母が力を合わせて、心と体を整える「発酵おうちごはん」を届けています。

〈山口飲食〉ってどんなお店?

JR徳島駅からも徒歩圏内の中心地にある〈山口飲食〉。周りには雰囲気のいい飲食店が点在し、街歩きが楽しいエリアです。

〈山口飲食〉のルーツは、実はうなぎ屋! 山口さん4姉妹の祖父は〈山口屋〉といううなぎの店を営んでいました。2008年に惜しくも閉店しましたが、地元の人気店だったといいます。

子どもの頃から飲食業の心意気に触れて育った山口さん姉妹。当時は看板娘たちとして店を盛り立てていたそうです。その後一時期は飲食から離れ、それぞれまったく別々の道を歩んでいましたが、発酵に出会うことで食の大切さを改めて実感し、4姉妹が再び集結したのでした。

こだわりのイッピン

〈山口飲食〉は一時期カフェだったこともありましたが、現在はテイクアウト専門で、季節の野菜や麹料理がたっぷりのお弁当やスイーツ、ドリンクなどを製造・販売しています。メニューづくりのコンセプトは「発酵食品」「天然由来」「日本の美味しい食材」。無添加、無化学調味料で、食材はオーガニックのものを積極的に使っており、容器もエコ素材を使用しています。

お弁当はいくつか種類がありますが、例えば「季節の恵みバランス弁当」は、肉、魚、野菜、卵などがバランスよくおかずに盛り込まれ、ボリュームにも大満足。徳島県は農産物が豊富であることを感じさせる、旬の新鮮な素材が贅沢に使われています。

また「折弁」と呼ばれるシリーズは、ご飯の上に彩り豊かな季節の恵みをたっぷり乗せたお弁当。カラフルなビジュアルも楽しく、蓋を開けるとわぁっと気分が上がります。

どんな発酵?

「季節によって中身は変わりますが、今日は徳島県産ひじきを使った麹入りの料理や、塩麹入りのラタトゥイユなど、麹はいろいろなところに多く使われています。特に人気は麹唐揚げでしょうか。これはもう定番メニューですね。徳島らしい発酵食品というと、山の方では雑穀を食べる文化があり、味噌も米と雑穀を混ぜた麹でつくる味噌があるんです。その味噌を料理に使うこともあります。5穀とか、7穀とか、多種類の雑穀が入っていて、すごくおいしいんですよ」と山口さん。

栄養バランスよく、食べ応えもあり、麹を中心とした発酵の力を存分に感じられるメニューは、一般の家庭はもちろん、健康への意識が高い企業や、病院に勤める医療従事者などからも多く注文が来るそうです。

ドーナツやグラノーラ、スムージーなど、工夫を凝らした甘いもののメニューも豊富。スムージーは砂糖の代わりに甘酒や徳島産のはちみつが使われ、体にじんわり染み入るような、自然な甘さの優しい味わいです。

醸す人

和食店に生まれ育った山口さきさんですが、会社員として働いていた20代の頃は食にまったく無頓着。毎日仕事で疲れて帰って来て、夜遅くにコンビニで買ってきた唐揚げとビールがいつもの夕飯だったそうです。本人曰く“底辺”だった、という生活を送っていました。

そんな山口さんが発酵食品に目覚めたのは、父親の病気でした。日本人が一番多いといわれる大腸がんだったのです。

「大切な人に健康であってほしい。それでいろいろと調べていると、腸内環境を整えることがとても重要であることを知りました。そのためにはどうしたらいいだろうとさらに探求を続けて、たどり着いたのが発酵食品。“発酵調味料は食べる美容液”っていう言葉を見つけてこれだと思ったんです」

そして山口さんはハッとしました。体にいいものとは何か特別なスーパーフードだと思っていたら、自分たちが長年関わっていた身近な和食のなかにあったのでした。それは目から鱗な気づきだった、と山口さんは言います。

山口さんはそこから発酵の世界へのめり込みます。まずはインナービューティーを学べる学校へ通い、体の内側から整えていくことを学び、先生として教える資格までを取得しました。さらにファスティングを教える学校で、デトックスによる健康美についても学びます。どちらにおいても腸内環境を整えることや発酵食品を取り入れることは、健康や美容に欠かせないベースとなっていました。その後は味噌や醤油の蔵元へも直接足を運び、麹や発酵食品についてさらに勉強を重ねました。

発酵おうちごはんの魅力を広げたい

ついに山口さんは仕事を辞め、やがて〈(一般社団法人)日本発酵フードラボ協会〉を立ち上げます。

「日常の食卓に発酵食品や天然由来のおいしいものを届けて、健康になる人を増やしたかった。もっとおうちごはんの良さを広げる人になりたかったんです」

最初は小さな料理教室からスタートしましたが、噂が噂を呼び、参加者がどんどん増えて人気の教室になっていきました。そして2016年には〈山口飲食〉をオープン。バラバラだった姉妹や母が次第に集まり、手伝ってくれるように。その土地でとれた新鮮で安心なもの、体にいいものを多くの人に届けたい、という思いはみんな一緒だったのです。

オープン当時、〈山口飲食〉はカフェとしてスタートしましたが、コロナ渦でテイクアウトに変更。

「カフェを続けるべきか随分悩みましたが、今は思い切って切り替えて良かったと思っています。当時はあまり外出できなかったので、旅をイメージしたメニューのアイデアを出し合うなど、いざお弁当づくりを始めたら、あまりにおもしろくて夢中になってしまいました」

料理教室も引き続き行っており、オンライン講座は今では全国に生徒がいます。家庭で気軽に楽しめる発酵料理から、先生として教えられるインストラクターコースまで、多様なクラスを開催しています。

発酵を起点に多彩な活動へ

「〈山口飲食〉をつくったとき、みんなが料理をつくれる教室と、料理を楽しめる飲食店、そしてそれらが家庭に流れて次の世代を生きる子どもたちに伝わっていく仕組み、という3つを叶えられるサービスを展開したいと決めていました」と山口さん。

今後は今の事業も続けつつ、お弁当をもっと広範囲に宅配できるサービスを考案中とのこと。野菜が不足しがちな日本人、特に首都圏へ住む人たちへ、豊富な徳島の野菜を使った発酵料理を届けられないかと、そのためのシステムを思案中だそうです。

また、不登校の子どもたちに向けた、オルタナティブスクールのような場にもチャレンジしてみたいとのこと。

「子どもたちが考案したお弁当をマルシェで販売するなど、自分たちで考えたアイデアが実現し、スクールの学費を稼ぐこともできる体験の場をつくれたらいいなと。まだ夢の段階ですが、やりがいがある試みだと感じています」

終始はつらつと朗らかに話をする山口さん。和気藹々とした4姉妹+母のチームワークにも頼もしさを感じます。次々とユニークなアイデアを出しながら、エネルギッシュに活動を続ける元気な山口家のみなさんに会いに、ぜひ訪ねてみてください。

information

発酵おうちごはん〈山口飲食〉
テイクアウト&料理教室

address:徳島県徳島市両国本町1丁目32両国本町ビル
営業時間・定休日はWEBサイトを参照
https://yamaguchi-insyoku.com/

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