発酵の面白さが詰まった空間で、
わくわくドキドキの発酵体験ができる店
〈発酵デパートメント〉@東京・下北沢

posted:2021.7.21

〈発酵デパートメント〉ってどんなお店?

〈発酵デパートメント〉は、東京・下北沢に2020年春にオープンした発酵にまつわる専門店。下北沢駅の南西口から徒歩5分ほどの「BONUS TRACK」という商業施設の一角にあります。全国各地のユニークなローカル発酵食品がそろう物販スペースと、発酵に特化した料理を味わえる飲食スペース(カフェレストラン)があり、発酵好きにはたまらない空間です。

カフェレストランには、テーブル席と子連れの方にもうれしい畳スペース席があり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

こだわりのイッピン

カフェレストランでは、オリジナルの発酵メニューを提供。おすすめなのが「米麺(ミーセン)」と「発酵ハヤシライス」です。

米麺は主に中国雲南省で食べられているライスヌードルのこと。フォーやビーフンとは全く違う、プリプリとした新感覚の麺料理です。スープは不定期で変わりますが、例えば鶏ガラベースに石川県の奥能登でつくられている魚醤「いしる」と小麦醸造調味料の〈しろたまり〉で味つけたものや、長野県木曽地方にある〈小池麹店〉のチーズのような風味の味噌をベースにしたものなど、個性的な発酵調味料による味つけがされています。

米麺の一例。「エキゾチック冷やし中華」(左)と「三五八鶏ハムと白醤油の温麺」(右)

「発酵ハヤシライス」は、静岡県浜松市にある〈トリイソース〉の木桶仕込みのソースと、栃木県日光市にある〈上澤梅太郎商店〉のらっきょうのたまり漬け、だし昆布が味の決め手。ひと口食べるとスプーンが止まらない、病みつきになるおいしさです。

また、テイクアウトでも食べられる「発酵ハムカツサンド」も人気です。こちらは発酵食品であるパンに、米粉フレークを使った分厚いハムとワインビネガーでつくったキャロットラペを挟み、みりんが入ったマスタードマヨとソースで仕上げたもの。ジャンクっぽさもありながら、酸味と甘味と旨みが三位一体となった奥深い味わいです。

なお、〈発酵デパートメント〉のメニューは不定期で一新されるため、訪れるタイミングによってその時々の発見があるのも楽しめるところです。

どんな発酵?

〈発酵デパートメント〉のメニューは、「料理家と微生物ともに調理に関わること」「見過ごされた食材の価値を高めること」「味覚を拡張するものであること」「ルーツを尊び、革新を恐れないこと」「食べる者もつくりたくなる学びと気づきを」という5つのポリシーに沿って開発されています。

使用している発酵食材は、お店のスタッフが直接生産地へ足を運び、選び抜いてきたローカルなものばかり。現地での食べ方などを知ったうえで、自分たち風にアレンジしています。同じ味噌や醤油でも、バリエーションの豊かさや使い方のレパートリーを、お店に来ることで得られるように提案しているといいます。

普段なかなか目にしない発酵食品を使ったメニューを味わうことができ、気に入ったものがあればそれを物販スペースで購入することができます。実際に生産者に会って生産現場を見てきたスタッフによるひと言コメントが、購入意欲をそそりますよ。

醸す人

〈発酵デパートメント〉は発酵デザイナーである小倉ヒラクさんが手がけるお店で、「世界の発酵みんな集まれ!」を合言葉に展開しています。その始まりは、2019年に実施した「発酵」をキーワードにした展覧会。ヒラクさんが日本全国47都道府県を旅する中で出会った、日本の食文化や地域の多様性を伝えました。そこで「発酵文化を広める場所をつくるのが自分の使命」だと感じ、次に手がけたのがこのお店でした。

「僕のキャリアのスタートはソーシャルデザインだったので、長年課題解決型の事業に携わってきました。ただ、発酵に関して課題解決のコンセプトはふさわしくないと思ったんです。〈発酵デパートメント〉がやることは世界の発酵を集めること。アーカイブすることが未来の人たちへのプレゼントだと思っています」(ヒラクさん)

現在、〈発酵デパートメント〉が取り扱う発酵プロダクトはおよそ500アイテム。自分たちが実際に訪ねるなど、醸造家とご縁のある商品を置いているといいます。

「よく『ヒラクさんがおいしいと認めた商品が並ぶんですね?』と聞かれるんですが、実は違うんです。僕には理解しかねる不可思議な味のものもあったりします(笑)。でも“おいしい”というのに正解はなく、手に取った人ごとの“しっくりくる味”があると思っています。東京は全国の人が集まっているという面白さがある町。このお店は多様なルーツを持つ人が自分のルーツにひもづく商品を買える場所を目指しています」(ヒラクさん)

個性派パン屋のパン販売も

〈発酵デパートメント〉ではパンの販売もしています。毎週月曜日と木曜日に日替わりで、3つのパン屋さんのパンを店頭で購入することができます。

純粋培養菌を一切使用せず、酵母(イースト)も麹菌も乳酸菌も、野生の菌を自家培養して発酵させている鳥取の〈タルマーリー〉、天然酵母と石窯を使って焼き上げる沖縄の〈宗像堂〉、地元食材を使った山梨の〈ベーカリールーブル〉という個性豊かなパン屋さんのパンを手にすることができるのです。

東京に居ながら全国の発酵食品に出合え、オリジナルの発酵料理を味わえる〈発酵デパートメント〉。まさにわくわくドキドキの発酵体験ができる場所といえます。メニューも商品も常にアップデートされていくので、行くたびに発見のあるお店です。

※本記事は2021年7月現在の内容です。最新の情報はお店のホームページをご確認ください。

information

〈発酵デパートメント〉

address:東京都世田谷区代田2-36-15 メインテナント1階
営業時間:11:00〜19:30(カフェレストランは19:00L.O.)
定休日:なし
https://hakko-department.com