私たち人間の腸には数100兆個もの細菌が生息しているといわれ、その重さは約1.5〜2キロにも及ぶそうです。腸内細菌は種類ごとに分かれて集落を形成しているのですが、その様子がまるでお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。そんな腸内フローラは一人一人異なり、3〜5歳くらいまでに腸内の菌種のパターンができあがるといわれています。
腸内フローラを構成する細菌は大きく3種類に分けられ、「善玉菌・悪玉菌・日和見(ひよりみ)菌」のバランスが「2:1:7」の状態が理想的だとされています。
私たちの体にとって有益な働きをする菌のこと。ビフィズス菌などの乳酸菌が該当します。善玉菌は食物に含まれる糖分や食物繊維を分解して、乳酸や酢酸、各種ビタミンなどを生成し、腸内を弱酸性の状態に保つことで、悪玉菌の侵入や増殖を防いでくれます。また、腸内の有害物質を体の外へ排出する働きもあります。
私たちの体にとって有害な働きをする菌のこと。ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌などが該当します。悪玉菌は食物に含まれる動物性たんぱく質や脂質を分解し、便として排泄処理するという働きがあります。ただし、腸内で悪玉菌が増え過ぎると便秘や下痢、肌荒れ、アレルギーなどの体調不良を引き起こします。便やおならの悪臭の元も悪玉菌の働きによるものです。
善玉菌にも悪玉菌にも属さない菌のこと。バクテロイデス、大腸菌(無毒株)が該当します。日和見菌は腸内において多い方の菌と同じ働きをするといわれています。
腸内フローラの菌のバランスは、加齢、食生活、疲労やストレスなどによって日々変化するものです。なかでも腸内のビフィズス菌は年を重ねるごとに残念ながら減少していくことがわかっています。年齢によるものは変えられませんが、腸内環境は食べたものに大きく左右されるため、毎日の食生活で腸内フローラを整えることができます。
例えば、肉類や魚介類、卵、乳製品など、動物性たんぱく質や脂質の多い食事に偏ると、それらを分解する悪玉菌が増えてしまうため、注意が必要です。一方で「プロバイオティクス食品」を食べることで善玉菌を増やしたり、「プレバイオティクス食品」をとることで善玉菌の働きを活発にしたり、腸内の環境を整えることができます。
なお、プロバイオティクス食品とは、善玉菌を含むヨーグルト、乳酸菌飲料、漬物、納豆、味噌、酒粕などの発酵食品のこと。プレバイオティクス食品とは、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などを含む海藻、いも類、果物、野菜、大豆、きのこ類などのこと。
また食事だけではなく、適度な運動をすることで腸が刺激され、活性化するといわれています。