発酵レア調味料

日本各地にある“レアな”発酵調味料。
「一度は味わってみたい!」
こだわりの逸品をご紹介。

麦と塩だけで生み出す、驚きの甘みと香り。
愛媛・宇和島に伝わる〈全麦麹味噌〉

posted:2026.6.12

味噌といえば大豆。そう思い込んでいた人に、ぜひ一度食べてほしい味噌があります。愛媛県宇和島市に伝わる〈全麦麹味噌〉。原料は麦麹と塩だけで、大豆が入っていないのです。それなのに、口に入れた瞬間に広がる甘みと香りは、ほかのどんな味噌とも違う、忘れられない風味があります。「この地ではこれが当たり前なんです」と話すのは、宇和島で三代に渡ってこの味を守り続けてきた〈井伊商店〉。TVやメディアにも多く取り上げられ、全国に熱狂的なファンを持つ蔵元です。

【〈全麦麹味噌〉とは?】

一般的に麦みそというと、主に九州地方を中心に食べられている、大豆に麦麹と塩を用いたものですが、愛媛県宇和島市には、大豆を用いず麦と塩だけでつくられる麦味噌が伝わっています。なぜ大豆を使わなくなったのかの理由については定かではありませんが、一つにはこの地域が「はだか麦」の一大産地であることが影響していることは間違いありません。大豆を用いない分、麦の量が必要になりますが、この地域内のもので賄えているのも、生産量が多いからこそ。

井伊商店の〈全麦麹味噌〉の原材料は、はだか麦(愛媛県産または香川県産)と塩(香川県製造)のみ

その味わいの要は、麦麹の出来にあります。麹を育てる「室(むろ)」は余分な湿気を吸収しやすい木造で、麹を熟成させる「もろぶた」(木の箱)は50年以上使い続けた年季の入ったものです。

できあがった麦麹と塩を混ぜ合わせ、木桶に仕込みます。そこから先は、天然醸造。人為的に温度を調整することなく、自然の成り行きに任せて発酵・熟成させます。夏なら3か月、冬なら半年という時間をかけて、四季折々の気候の中でゆっくりと完成されるのです。

はだか麦麹の華やかな香りとまろやかな甘さが特徴的で、ハーブが入っているかと思うくらい芳醇な味わいと評されるほど。麹の香り、甘み、少なめの塩味、ほんの少しのクセ、すべてが最高のバランスと感動するファンも多い。一般的な米みそに比べて塩分が低く、麹の量が多いため、甘みと香りが際立つのも麦みそならではの特徴です。

【〈全麦麹味噌〉の食べ方】

豊かな甘みと香りを持つ〈井伊商店〉の麦みそは、加熱してみそ汁にするだけではもったいない。ぜひ、生のままの風味も楽しんでいただきたい。

まずはそのまま、ひとなめ。米みそとはまったく異なる、ふわりと広がる麦の甘い香りに驚くはずです。

野菜スティックのディップに。 香りのいい麦みそは野菜スティックにつけてもおいしい。甘みが香味野菜にもマッチするので、セロリやみょうがにもよく合います。新鮮なお野菜と合わせてそのままディップしても最高です。

もちろん、みそ汁や豚汁に。甘みがあって豚汁との相性も抜群と口コミでも高評価。やさしい野菜のみそ汁はもちろんのこと、しっかりだしを効かせた豚汁にもよく合います。麦みそ特有の甘みがだしの旨みをやさしく包み込んでくれます。

夏の定番「冷や汁」にも相性がいいです。

宮崎や宇和島など西日本に伝わる冷や汁は、麦みそでつくってこそ本領発揮。すりごまや豆腐、きゅうりとともに冷たいだし汁に溶かせば、暑い夏にぴったりの一杯になります。

【〈全麦麹味噌〉のつくり手】

愛媛県宇和島市、海と山に囲まれた町に店を構える〈井伊商店〉は、昭和33年(1958年)創業。麦みそにのみこだわり、三代にわたってこの味を守り続けてきた味噌蔵です。

現在の店主は、三代目の井伊友博さん。家族で営む小さな味噌屋ながら、そのひたむきさと品質への誠実さが全国の食いしん坊たちの心をつかんでいます。テレビや雑誌への掲載後は注文が殺到し、発送まで数か月待ちになることもあるほど。それでも「慌てず騒がずただ待つだけ」という天然醸造の哲学を曲げることはありません。

麹を熟成させるもろぶたは壊れても修理して使い続け、木の繊維に宿った麹菌を大切にしながら、昔ながらの手仕事を続けています。効率よりも、味。スピードよりも、発酵の自然なリズム。その姿勢が、あの甘くやさしい麦みその風味に宿っています。

どこか懐かしくて、でも出会ったことのない味。それが、〈井伊商店〉の麦みそです。是非一度、ご賞味ください。

information

〈全麦麹味噌〉

価格: 790円/1kg(税込)
井伊商店:https://iimiso.com/