熟成度合いで味変できるのが醍醐味。
自家製「味噌」のつくり方

posted:2020.11.27

日本の料理に欠かせない調味料の「味噌」。かつては各家庭で仕込んで、その味を自慢し合っていたため、“手前味噌”という言葉があるほど。今回のレシピはオーソドックスな米味噌です。熟成にともなう味の変化を楽しめるのも自家製味噌の醍醐味。麹の種類や原料の割合などによっても大きく味が変化するので、慣れてきたら自分好みのレシピを見つけるのも楽しいです。

材料
大豆・・・1kg
乾燥米麹・・・1kg
塩(自然塩)・・・400g
準備物
保存容器(仕上がり約4kgの味噌が入るもの)

マッシャー
ラップ
ビニール袋

\ つくり方 /

はじめに

手を清潔に洗う、保存容器を煮沸しておく、乾燥米麹をほぐしておく。

軽く大豆を洗い、鍋にたっぷりの水(3ℓほど)とともに入れ、10時間以上浸す。

浸水後の大豆。乾燥大豆の2倍くらいに膨れます。

〈 ポイント 〉 大豆をしっかりと浸したほうが煮上がりもよく、芯が残りません。

大豆の水をよく切ってから鍋に戻し、新しい水をたっぷり(3ℓほど)加えて火にかける。3〜4時間弱火でゆっくりと煮て、指で簡単につぶせるくらいまで煮る。圧力鍋がある場合は、圧力鍋で煮てもよい。

ビニール袋に塩と乾燥米麹を入れ、よく混ぜ合わせる。

煮終わった大豆と煮汁を分ける(煮汁は取っておく)。大豆を鍋に戻し、マッシャーでペースト状になるまでつぶす。

粗熱が取れたら、 3 を入れ混ぜ合わせる。

〈 ポイント 〉 できあがりのペーストは耳たぶくらいの固さにします。固いようであれば、取っておいた煮汁を少しずつ加えるようにしましょう。

5 を子どものこぶし大に丸め、空気を抜くように、保存容器の底に叩きつけ、全体的に押しつけながら平らに詰めていく。

全て詰め終わったら、表面にふり塩(分量外)をしてからラップをして仕込み完了。冷暗所で寝かせる。

〈 ポイント 〉 塩はカビを防ぐために入れます。できあがりの味噌の味に影響はないので、しっかり入れてあげましょう。味噌は6か月目くらいからおいしくなります。透明の保存容器で仕込むと、熟成にともなう色の変化を見ることができます。

仕込んで1か月後の様子

仕込んで3か月後の様子

? どんな発酵 ?

味噌の中ではいくつかの微生物がはたらいています。一つは麹をつくりあげるための麹菌です。麹菌は麹にため込んだ酵素を味噌つくり中にはき出し、大豆と麹の中のデンプンをゆっくりと溶かしていきます。さらにその栄養を素に、乳酸菌や耐塩性酵母も生育していきます。味噌製造時には、麹菌自体は生育しません。しかし、ため込んだ酵素の量が多いほど、うま味が強い味噌が仕上がり、味噌にとっては重要な縁の下の力持ちとなります。また、乳酸菌や酵母は、味噌の風味を出す重要な役割を持ちます。生育する乳酸菌や酵母の種類などは製造環境などによって異なり、生育しないこともありますが、それぞれの味噌の個性となります。

解説:金内誠(宮城大学 教授)/麹菌の詳細についてはこちら

\ たのしみ方 /

米麹の代わりに麦麹を使うと麦味噌に、大豆麹を使うと豆味噌になります。また、大豆に対して麹の量が多いと甘口の味噌に、少ないと辛口の味噌に仕上がります。熟成期間によって味噌の色や味わいが変わり、熟成期間が短いと薄い色味であっさりした味わいに、長いほど味噌の色が濃くなり風味も強くなります。味噌汁や炒めもの、味噌ディップなど毎日の食事に使って楽しんでみてはいかがでしょうか。

〈レシピ監修〉大島今日
1991年、宇都宮「オーベルジュ(現オトワレストラン)」にて料理の世界へ。24歳で渡伊。本場イタリアンレストランで3年間修行し、帰国後、東京丸の内「リストランテ・ヒロチェントロ」の料理長として就任。
その後、アル・ケッチァーノを経て、(株)フードアンドパートナーズへ。「Kouji & ko」のメニュー開発に携わる。発酵の旨みや香りを最大限に引き出し、おいしく、健康に配慮した料理を得意とする。