梅のおいしさを存分に抽出。
米麹で発酵させた「梅麹シロップ」のつくり方

posted:2020.6.4

つくるプロセスがたのしい「梅麹シロップ」。麹と梅に含まれる酵素が砂糖を栄養にして発酵し、日々変化します。発酵の過程で砂糖はブドウ糖に変わり、私たちの体を動かすエネルギー源になります。

材料
青梅・・・1kg
砂糖(上白糖)・・・1.1kg
乾燥米麹・・・100g
準備物
包丁、まな板、木べら、仕込み用容器、ガーゼ(瓶の蓋がかぶる大きさ)、輪ゴム、レードル(かき混ぜる用)、ザル・ボウル(濾す際に使用)、保存容器(完成したシロップを保存する用)

\ つくり方 /

はじめに

手を清潔に洗う、仕込み用容器を煮沸しておく、乾燥米麹をほぐしておく。

青梅はよく洗い(※35度の焼酎で洗うと雑菌の汚染を少なくできます)、水気をしっかり切って拭き取る。

青梅のヘタを取る(※竹串などで取ると取りやすいです)。

青梅の半分は種を挟んで3つに切る、または半分に割る(※うっすらと見えるくぼみに沿って、種まで届くように一周包丁で切り込みを入れます。切り込みが上になるように置き、木べらなどで上から押すとパリッと2つに割れます)。種は付いたままで。

〈 ポイント 〉青梅を切って使うことで、糖の浸透などがよくなり発酵しやすくなります。また、種のまわり(特に種の仁)は香りが強いため、種の部分も使ってください。

事前に煮沸した仕込み用容器に、まず砂糖を入れて、青梅→砂糖→青梅と順に重ねるように入れる(最後に表面を蓋する分の砂糖を取っておく)。

麹(全量)を振り入れ、砂糖で表面をフタをするように覆って仕込み完成。

〈 ポイント 〉表面を砂糖で覆うことで、浸透圧が高まり、微生物汚染の抑制になります。

仕込み用容器にガーゼでフタをし、ズレないように輪ゴムで止める。

〈 ポイント 〉発酵が進んでくるとガスが発生してくるため、密封すると開封時に噴き出す恐れがあります。

直射日光が当たらない室内に置き、翌日から毎日1~2回レードルなどでよく混ぜる。砂糖が沈んでいるので、底からしっかりと混ぜる。

写真は仕込んでから5日目の様子

毎日混ぜて約7日間、梅から水があがって、実が浮いてきたら完成。完成後ザルで濾してください。シロップは保存容器に移し替え、冷蔵庫で保存しましょう。完成後も発酵しているため、保存する際はフタを密閉しないでください。

? どんな発酵 ?

砂糖のほかに麹を加えることで、麹菌のつくりだす酵素の作用によって、梅の実がやわらかくなります。通常の糖漬けであれば、梅の実はしわしわになります。そうすると梅の実のおいしいところは、実に残ったまま。しかし、実の繊維質を分解する酵素をもつ麹を入れることで、梅の実のおいしさを余すことなく抽出できます。麹菌がつくるビタミンも補給できるため、夏バテ解消にも役立ちます。

解説:金内誠(宮城大学 教授)/麹菌の詳細についてはこちら

\ たのしみ方 /

まろやかな甘みの梅麹シロップです。水や炭酸飲料で割っておたのしみください。青梅と一緒にレモン(2個)を入れると、より奥深い味わいになります。レモンを入れる際は皮とワタを取り、輪切りにしましょう。冷蔵庫で2か月ほど保存が可能です。

〈レシピ監修〉大島今日
1991年、宇都宮「オーベルジュ(現オトワレストラン)」にて料理の世界へ。24歳で渡伊。本場イタリアンレストランで3年間修行し、帰国後、東京丸の内「リストランテ・ヒロチェントロ」の料理長として就任。
その後、アル・ケッチァーノを経て、(株)フードアンドパートナーズへ。「Kouji & ko」のメニュー開発に携わる。発酵の旨みや香りを最大限に引き出し、おいしく、健康に配慮した料理を得意とする。